MacBook Air 2011のSSDを交換してLubuntuを入れた
初めて買ったパソコンのMacBook Air 11インチ Mid 2011が起動しなくなっていた。Lubuntuを入れて使おうとしたら内蔵のSSDが壊れていたので、変換アダプタを使ってM.2のSATA SSDに交換し、Lubuntu 26.04を入れた。値段や部品の入手性は、この記事を書いている2026年11月時点のもの。
機種はMacBookAir4,1(A1370)で、メモリは2GB、SSDは64GB。
起動しない症状
実家に帰省したらこのMacBook Airが転がっていたので、懐かしいなーと電源を入れてみると、「問題が起きたため、コンピュータを再起動しました」の画面が出て、再起動を繰り返した。起動ディスクにmacOSはあるけど、このMacでは使えないという意味の、丸に斜め線の禁止マークが出て止まることもあった。
Lubuntu 26.04を選んだ理由
このMacBook Airが対応するmacOSはHigh Sierraまでで(次のMojaveはMid 2012以降のMacBook Airが対象)、もう更新が来ないので、macOSは直さずに、Linuxを入れて使うことにした。
標準のUbuntu Desktop 26.04は、快適に使うには6GB以上のメモリが要るとしていて(リリースノート)、2GBでは足りない。そこで、軽いデスクトップ環境のLXQtを使うUbuntuの公式フレーバー、Lubuntuにした。いずれMacをやめてUbuntuを使っていこうかなと思い始めていたので、中身が同じUbuntuで慣れておきたかった、というのもある。Lubuntuでも、インストーラーを起動すると推奨条件をいくつか満たしていないという警告が出たけど、そのまま進められた。
バージョンは、最新のLTSで2029年4月までサポートされる26.04にした(リリースのお知らせ)。
インストールUSB
USBメモリへの書き込みは、Windows 11のPCでRufus 4.15を使った。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| ISO | lubuntu-26.04.1-desktop-amd64.iso |
| パーティション構成 | GPT |
| ターゲットシステム | UEFI(CSM無効) |
| ファイルシステム | FAT32(規定) |
| 書き込み方式 | ISOイメージモード |
MacはUEFIで起動するのでGPTにした。
書き込んだUSBを挿して、Optionキーを押しながら電源を入れると、起動ディスクの選択画面に「EFI Boot」が出る。これを選ぶと、Lubuntuの言語とネットワークを選ぶ画面が出るので、「Try Lubuntu」を選んで試用モードにした。キーボード、トラックパッド、画面などは普通に動いた。
インストールの失敗とSSDのエラー
インストーラーで「ディスクを消去」を選んで進めると、パーティションを作るところで失敗した。
インストールに失敗
インストーラーはディスク 'APPLE SSD SM064C' にパーティションを作成できませんでした。
Create a new partition (300.00 MiB, fat32) on '/dev/sda'
Job: Create new partition on device '/dev/sda'
読み取りエラー
SSD自体は、lsblk -o NAME,SIZE,MODELで見るとsda(56.5G、APPLE SSD SM064C)として認識されていた。カーネルのログをdmesgで見ると、SSDの読み取りエラーが出ていた。関係する行を抜き出すと次のようになっている。
ata1.00: failed command: READ FPDMA QUEUED
ata1.00: error: { UNC }
sd 0:0:0:0: [sda] tag#8 Sense Key : Medium Error [current]
I/O error, dev sda, sector 1408 op 0x0:(READ)
ディスクの先頭近く(sector 1408)が、SSDの誤り訂正でも直せずに読めなかった。パーティションを作れなかったのはたぶんこのエラーのせいで、最初の再起動ループや禁止マークも、ほかの場所が同じように読めなくなっていたせいだと思う。
ゼロでの上書き
読めない場所に書き込めば、また読めるようになるかもしれないと思って、ダメ元でSSD全体をゼロで上書きしてみた。途中でスリープしないようにsystemd-inhibitを付けている。
sudo systemd-inhibit dd if=/dev/zero of=/dev/sda bs=1M status=progress conv=fsync
21GBまでは平均55MB/sで書けていた。sector 1408もこの範囲に入っていて、読めなかった場所への書き込みはエラーにならなかった。
そこから平均の速度が23MB/s、18MB/sと落ちていって、別のタブでログを見ると、SSDが書き込みを拒否(ABRT)していた。
ata1.00: failed command: WRITE DMA EXT
ata1.00: status: { DRDY ERR }
ata1.00: error: { ABRT }
応答しなくなったSSD
上書きを止めて起動し直すと、今度はlsblkにSSDが出てこなくなった。
ata1: link is slow to respond, please be patient (ready=0)
ata1: limiting SATA link speed to 1.5 Gbps
ata1: hardreset failed
ata1: reset failed, giving up
リンクの速度を1.5Gbpsまで落としてもSSDがリセットに応答しないので、カーネルがあきらめている。読めない(UNC)、書き込みを拒否する(ABRT)というエラーはどちらもSSDが返したものなので、壊れたのはSSDのほうだと考えて、SSDを交換することにした。
SSDは電荷でデータを記録しているので、長いあいだ電源を入れないと電荷が抜けて、データが読めなくなることがある。最初の読み取りエラーは、しばらく使っていなかったせいもあるのかもしれない。ただ、データが消えただけなら上書きすれば使えるはずで、書き込みまで拒否されて最後は応答もしなくなったので、15年たってSSD自体が寿命を迎えたんだと思う。
交換用のSSDとアダプタ
2010・2011年のMacBook AirのSSDは独自のコネクタなので、普通のM.2 SSDはそのまま挿さらない。M.2 SSDを挿せるようにする変換アダプタを使うことにした。選ぶときに気をつけることが思ったより多かった。
SATAとNVMe
2010・2011年のモデルはSATA接続なので、使えるのはM.2のSATA SSDだけで、NVMeのSSDは使えない。M.2のSATA SSDは端子の切り欠きが2つ(B+Mキー)のものが多く、切り欠きが1つ(Mキー)のNVMeとは見た目でも見分けやすい。「MacBook Air SSD 変換アダプタ」で検索すると、2013〜2017年モデル用のNVMeのアダプタがたくさん出てくるので紛らわしい。対応機種にA1370(2010・2011年の11インチ)が入っているものを探した。
選んだSSDと届いたSSD
SSDは、ノートPC向けに使われていた中古のSamsung PM871b(MZ-NLN128C、128GB、M.2 2280 SATA)を買った。アダプタの商品ページに、裏面にも部品が付いているSSDは本体とぶつかるので取り付けられない、という注意書きがあったので、商品写真で裏面に何も付いていないことを確かめた。
アダプタは、2230〜2280に対応したHodaysのものにした。同じHodaysのアダプタで交換に成功している記事がある。
届いたSSDは、lsblkで見るとSAMSUNG MZNLH128HBHQ-000L1と表示された。SATAの規格団体SATA-IOの登録では、PM871bのM.2の型番はMZNLN128、PM881のM.2はMZNLH128で始まるので、PM871bではなく後継のPM881が届いている。どちらも6GbpsのSATAのM.2 SSDとして登録されていて、このアダプタで使う条件は変わらないので、そのまま使うことにした。
費用
かかったお金はこれだけ。
| 品名 | 値段 |
|---|---|
| PM871b 128GB(中古) | 2,550円 |
| 変換アダプタ(Hodays) | 1,199円 |
| 精密ドライバー | 799円 |
| USBメモリ 16GB | 約1,500円 |
| 合計 | 約6,050円 |
ドライバーとUSBメモリはほかでも使えるので、MacBook Airのためだけにかかったのは、SSDとアダプタの3,749円。
USBメモリは、すぐ作業したくなったので近くのホームセンターで買ったけど、USB 2.0なのに高いなーと思った。
SSDの交換
iFixitのガイドに沿って交換した。裏ぶたはP5のペンタローブネジが10本(8mmが2本、2.5mmが8本)、SSDはT5のトルクスネジ1本で留まっている。ガイドでは所要時間6〜10分、難易度は「簡単」となっていて、実際に難しいところはなかった。
裏ぶたを開けると、バッテリーのラベルはModel A1406(35Wh)で、膨らんでもいなかった。バッテリーのコネクタを外してから、古いSSDのネジを外して引き抜き、アダプタに付けた新しいSSDを差し込んでネジで留めた。
裏ぶたを閉める前にバッテリーをつなぎ直し、USBから試用モードで起動して、lsblk -o NAME,SIZE,MODELで新しいSSDが認識されているか確かめた。
sda 119.2G SAMSUNG MZNLH128HBHQ-000L1
├─sda1 16M
└─sda2 119.2G
sdb 14.5G USB DISK 2.0
中古SSDの状態
中古なので、smartctlで健康状態を見た。
sudo apt install -y smartmontools
sudo smartctl -a /dev/sda
SMART overall-health self-assessment test result: PASSEDで、エラーログもNo Errors Loggedだった。主な項目は次のとおり。Wear_Leveling_Countは新品の100から減っていく値で、ほかは時間や回数、量をそのまま表した値。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| Power_On_Hours | 8,426時間 |
| NAND_Writes_1GiB | 15,285GiB |
| Wear_Leveling_Count | 94 |
| Reallocated_Sector_Ct | 0 |
| Uncorrectable_Error_Cnt | 0 |
| CRC_Error_Count | 0 |
前の持ち主が8,000時間以上使っていて、書き込み量は約15TiBあるけど、寿命はまだ9割以上残っている。予備の領域への置き換えも、壊れたSSDで出ていたような読み取りエラーや通信エラーも0だった。
SSDとの接続速度も見てみた。
sudo dmesg | grep -i "SATA link up"
6.0Gbpsでつながっていた。前のSSDは1.5Gbpsに落としてもつながらなかったけど、新しいSSDは6Gbpsでつながったので、Mac側のSATAは問題なかった。
インストールと初期設定
USBから起動して、言語とネットワークを選ぶ画面の「Install Lubuntu」から入れた。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| キーボードモデル | Apple Aluminium (JIS) |
| キーボードレイアウト | Japanese (Macintosh) |
| パーティション | ディスクの消去、ext4、スワップなし |
| 暗号化 | あり |
SSDへの書き込みを減らしたかったので、スワップは作らなかった。持ち歩くこともあるので暗号化もした。暗号化すると、EFIシステム(300MiB)、lubuntu_boot(4GiB、ext4)、lubuntu_2604(約115GiB、LUKS2)の3つに分けられた。
インストールしたLubuntuを起動したら、アップデートして日本語入力のfcitx5-mozcを入れた。
sudo apt update && sudo apt full-upgrade -y
sudo apt install -y fcitx5-mozc
ほかに設定したのは次のこと。
- 再起動してもFcitx 5が起動しなかったので、
im-config -n fcitx5を実行してログインし直した。 - Macと同じように、かなキーで日本語、英数キーで英語に切り替えたいので、Fcitx 5の設定の「グローバルオプション」で、入力メソッドをオンにするキーにかな、オフにするキーに英数を割り当てた。
- トラックパッドは最初はタップでクリックできなかったので、LXQtの設定の「キーボードとマウス」→「マウスとタッチパッド」→「タッチパッド」で「タップでクリック」にチェックを入れた。
- セキュリティ更新は
sudo dpkg-reconfigure unattended-upgradesで自動で入るようにした。
もう一つ、インストールしたあとはhtopでSwpが0K/0Kになっていた。試用モードではメモリの一部を圧縮してスワップに使うzramが動いていたけど、インストールしたLubuntuには入っていなかった。スワップもないので、このままだとメモリが足りなくなったときに逃げ場がない。systemd-zram-generatorを入れて再起動した。
sudo apt install -y systemd-zram-generator
すると、メモリの半分の約900MBがzramのスワップとして使えるようになった。
メモリとバッテリー
htopで見ると、起動直後のメモリ使用量は722M/1.77Gだった。2GBのうち一部は内蔵グラフィックスに使われている。FirefoxでGoogleの検索ページを1つ開くと1.24G/1.77Gになって、zramにも299M逃がされていた。タブを開きすぎなければ、ネットサーフィンには使える。
バッテリーは15年前のものなのに、まだ元気だった。
upower -i $(upower -e | grep BAT)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| energy-full | 34.11Wh |
| energy-full-design | 38.76Wh |
| capacity | 88% |
| charge-cycles | 176 |
容量は設計時の88%残っていて、充電回数も176回と少ないので、互換バッテリーに替える必要はなさそう。
やってみて
懐かしいなーと電源を入れただけだったのが、SSDの故障を調べて、交換用の部品を探すことになった。SATAかNVMeか、片面か両面か、何に対応しているかを1つずつ確かめているうちに、だんだん面倒になってきて、途中で外付けのSSDでいいかと思い始めたりもした。
今なら1〜2万円くらいで、もっとスペックのいい11インチのMacBook Airが中古で買えるし、メモリの2GBは現代のスマートフォンよりも少ない。それでも、初めて買ったパソコンがまた動くのはうれしいし、SSDがだんだん壊れていく様子をログで追えたのも、なかなかできない経験でよかった。しばらくはいい感じに使っていきたい。